科学論文原稿にも見栄えのするタイトルを

  • 興味を引くタイトルで読者を引き込む
  • 効果的なのは、短いながら記述的なタイトル
  • タイトルと論文内容は正確に一致させる

最終更新日:2019年6月2日

two researchers working on a manuscript

科学者には論文原稿のタイトルを選ぶのに時間をかけたりしない人が多いものですが、多くの著者は、著作物のもっとも重要な要素はタイトルであると考えています。潜在的な読者の目を引くためだけでなく、タイトルは、査読者やジャーナル編集者に良い印象を与える第一歩としても重要です。この記事では、論文原稿にベストなタイトルを選ぶためのヒントをご紹介します。

タイトルは短く

長々としたタイトルはきちんと読んでもらえず、読者が論文の本文を開けてくれないということにもなりがちです。パイヴァらによる調査によれば、タイトルの短い論文の方が読まれ、引用される頻度が高いことが示されています。また、ナイト及びインガーソルによれば、タイトルは最長でも16語以内にすべきだとされます。「~の効果(effects of)」、「~の比較(comparison of)」、「~の事例(a case of)」などといった単なる「つなぎ」言葉は排除しましょう。一方、単語は全て略さずに記載すべきであり、スペースを節約するために省略形を使ってはいけません。

…ただし、短すぎてもだめです!

タイトルに含まれる情報量が少なすぎても、誰もその先を読み進めてくれないということになります。例えば、「新規バイオマーカー(Novel cancer biomarker)」というのでは、一つの研究の説明としてはあまりに大雑把です(これでは、どの種類のがんを研究対象としているのか、新しい種類のバイオマーカーなのか、それとも新規事例にすぎないのかといった点が不明です。)。ご自身の論文を差別化するに足りる情報をタイトルに盛り込むことが必要です。

質問文や完結文をタイトルに使わない

タイトルは、「文」ではなく、記述的なフレーズにしましょう。また、質問文を使うよりも、答えを提示すべきです。タイトルを完結した文章にしようとすると、たいていの場合、余計な言葉を並べるだけになります。例えば、「紫外線を照射された赤鶏には自然染色体再配列が生じる(Red hens undergo spontaneous chromosome rearrangement when exposed to ultraviolet light)」(英文で11語)は、「紫外線照射による赤鶏の染色体再配列(Ultraviolet light-induced chromosome rearrangement in red hens)」(英文で7語)のように、より簡潔に表現できます。

原稿内容の誇大表示はいけません

これまでに誰も同趣旨の論文を発表していないことが確かでない限り、「新しい(novel)」、「初めての(first time)」などといった表現を使用すべきではありません。このような表現は、査読者や編集者の目には、危険信号に映ります。タイトルに応じた内容があることを確保しましょう。例えば、「赤鶏の染色体再配列にかかる分子メカニズム」を明らかにするというのであれば、研究結果から得られるメカニズムについての理解をはっきりと示す必要があります。この場合、研究結果がメカニズムを完全に明らかにするものでなければ、「Xタンパク質が赤鶏の染色体再配列に寄与する」などとしましょう。論文原稿の内容は全て、タイトルに関連するものとすべきです。

研究対象の生物種名を明示する

研究に使用した種ないし交配種の名称は、ほぼ間違いなく読者の注意を引くキーワードとなります。

読者が検索に使いそうなその他のキーワードを使用する

遺伝子やテクニックなどに言及する際は、出来るだけ多くの読者の目に留まるよう、もっとも普遍的に使用される名称を使うようにしましょう。最重要タームは、タイトルの最初ないし最後にもってきましょう。目次を流し読みする読者の目につきやすいのがこの部分だからです。もっとも、研究に使ったテクニックについては、これが論文の中心論点である場合にのみタイトルに含めるのが正解です。上記の調査(パイヴァ他、2012)でも、方法論に焦点を当てたタイトルの論文は読まれる頻度が低いことが示されています。

どれが良いタイトルかを判断するのはなかなか難しいこともありますから、研究仲間にも手伝ってもらいましょう!タイトルの選択肢を3つ、4つほど用意して、どれが最も注意を引くか、論文内容の研究データにマッチするか、意見を求めてみましょう。時間をかけて最善のタイトルを選ぶことで、査読に際して良い印象を与え、より多くの読者を得ることができるかもしれないのです。この記事が次の論文のタイトルを決める際にお役に立てば幸いです!もちろん、ご質問等があれば、是非ご連絡ください。

AJEの論文原稿フォーマットサービスでは、論文のタイトル語数、要旨、図表の凡例が、投稿先ジャーナルのガイドラインに沿っているかの確認も行っております。

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