システマティックレビューとメタアナリシスの違い:文献レビュー・スコーピングレビューとの比較

文献レビュー、システマティックレビュー、メタアナリシスは、目的も手法も異なります。この記事では、それぞれの内容と、システマティックレビューとメタアナリシスの違い、スコーピングレビューなどのレビューの種類、研究に合った選び方とよくある失敗を解説します。

最終更新日:2026年11月5日

a peer reviewer having language trouble while peer reviewing a manuscript

文献レビュー(literature review)、システマティックレビュー(systematic review、系統的レビュー)、メタアナリシス(meta-analysis、メタ分析)は、いずれも既存の研究を材料にしますが、目的も方法も異なる別のものです。文献レビューは、あるテーマについて分かっていることをまとめる作業、システマティックレビューは、焦点を絞った問いに、体系的で再現可能な方法で答える研究手法、メタアナリシスは、複数の研究の数値結果を統計的に統合する手法です。これらの用語は混同されやすく、研究に適さない手法を選んだり、原稿の中で研究内容を不正確に説明したりする原因になります。

この記事では、以下の内容を解説します。

  • 文献レビュー、システマティックレビュー、メタアナリシスのそれぞれの内容
  • システマティックレビューとメタアナリシスの違い
  • スコーピングレビューなど、そのほかのレビューの種類
  • 主なレビューの種類の比較表
  • 研究に合ったレビューの選び方と、よくある失敗

文献レビューとは

文献レビューとは、あるテーマに関する既存の研究を要約し、批判的に検討することです。この言葉は幅広い意味で使われ、研究論文や学位論文の序論で、先行研究を踏まえて研究の位置づけを示す部分も、独立したレビュー論文も指します。あらかじめ決められた検索の手順を踏まずに行う文献レビューは、ナラティブレビュー(narrative review)や従来型のレビューと呼ばれることがあります。

文献レビューの主な目的は、テーマの全体像を読者に示し、考え方がどのように発展してきたかを整理し、新しい研究が埋めるべき空白を明らかにすることです。ナラティブレビューでは、著者が自由に文献を選べるため柔軟に書ける一方、選択に偏りが生じるおそれがあります。文献レビューの書き方は、目的やテーマの広さによって異なりますが、テーマに関する文献を整理し、共通点や相違点、研究の空白を示すのが基本です。

システマティックレビューとは

システマティックレビューとは、焦点を絞った具体的な問いに答えるために、関連するすべての研究を、体系的で再現可能な方法で特定し、評価し、統合する研究手法です。ナラティブレビューとの違いは、手順の厳密さにあります。システマティックレビューには、一般に次のような要素が含まれます。

  • 明確に定義された研究課題(リサーチクエスチョン)
  • 研究計画書(プロトコル)。医療・健康分野では、レビューの開始前にPROSPEROなどの登録サイトに登録することが多い
  • 複数のデータベースを使った、記録された検索語による網羅的な検索
  • 研究を採択・除外するための、あらかじめ決めた基準
  • 採択した各研究の質やバイアスのリスクの評価
  • 研究の選定過程の透明な報告(通常はフロー図で示す)

システマティックレビューは、通常、報告の指針であるPRISMA声明に沿って報告されます。網羅的な文献検索については、図書館員の専門知識が役立つとされています。図書館と査読の関わりについては、図書館は査読プロセスにどのような影響を与えるか?もご覧ください。システマティックレビューの結果は、文章で要約される場合もあれば、研究が十分に似通っている場合には、メタアナリシスで統計的に統合される場合もあります。システマティックレビューのやり方は、研究課題の設定、プロトコルの作成、検索、研究の選定、評価、統合の順に進めるのが一般的です。

メタアナリシスとは

メタアナリシス(メタ分析)とは、複数の独立した研究の定量的な結果を統合して、全体としての効果を推定する統計手法です。メタ分析とは、メタアナリシスの日本語での呼び方の一つで、両方の呼び方が使われています。結果を統合することで、個々の研究よりも精度の高い推定が可能になり、研究間で結果がどの程度ばらついているか、つまり異質性(ヘテロジェニティ)も検討できます。メタアナリシスの結果は、各研究の結果と統合した推定値を示すフォレストプロットで表されるのが一般的です。

メタアナリシスの信頼性は、対象とした研究と、その選定過程の質に左右されます。有意な結果が出た研究のほうが論文として発表されやすいため、検索が未発表の研究を取りこぼすと、効果が過大に推定される出版バイアスが生じることがあります。出版バイアスは、ファンネルプロットなどで検討されます。

なお、3つ以上の介入を、直接比較と間接比較の両方を使って同時に比較する手法は、ネットワークメタアナリシスと呼ばれます。

システマティックレビューとメタアナリシスの違い

システマティックレビューとメタアナリシスの違いは、カテゴリーの違いです。システマティックレビューは、証拠を体系的に探し、評価するための研究デザインです。メタアナリシスは、数値の結果を統合するための統計手法です。両者は関連しており、多くのメタアナリシスはシステマティックレビューの一部として行われますが、どちらか一方がもう一方を前提とするわけではありません。

システマティックレビューには、必ずしもメタアナリシスが含まれるとは限りません。対象とした研究の研究デザイン、対象者、アウトカムが異なりすぎて、意味のある統合ができない場合は、結果を文章で統合します。一方、メタアナリシスは、体系的な検索に基づいて行うべきです。任意に選んだ研究だけを統合すると、研究の選び方自体が偏りの原因となり、誤解を招く推定値が得られるおそれがあります。

スコーピングレビューとそのほかのレビュー

レビューの種類は、この3つにとどまりません。スコーピングレビュー(scoping review)は、広いテーマについて、研究の範囲と性質を把握し、概念を整理したり、研究の空白を見つけたりするためのレビューです。検索は体系的に行いますが、通常は、各研究の質の評価や結果の統合は行いません。報告には、スコーピングレビュー向けのPRISMAの拡張版が使われます。

そのほか、実験研究と非実験研究など、異なる種類の証拠を統合する統合的レビューや、システマティックレビューの手順を簡略化して短期間で結果を得る迅速レビューなどもあります。どの種類が適しているかは、答えたい問いによって決まります。

主なレビューの種類の比較

<table style="width:100%; border-collapse:collapse;">
<thead>
<tr>
<th style="border:1px solid #ddd; padding:10px; text-align:left;">項目</th>
<th style="border:1px solid #ddd; padding:10px; text-align:left;">文献レビュー(ナラティブレビュー)</th>
<th style="border:1px solid #ddd; padding:10px; text-align:left;">システマティックレビュー</th>
<th style="border:1px solid #ddd; padding:10px; text-align:left;">メタアナリシス</th>
<th style="border:1px solid #ddd; padding:10px; text-align:left;">スコーピングレビュー</th>
</tr>
</thead>
<tbody>
<tr>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;"><strong>主な目的</strong></td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">テーマの概要と背景を示す</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">焦点を絞った問いに、透明な方法で答える</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">数値の結果を統合して全体の推定値を出す</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">広いテーマの証拠の範囲を把握する</td>
</tr>
<tr>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;"><strong>問い</strong></td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">広い</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">焦点が絞られている</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">焦点が絞られ、比較可能なアウトカムがある</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">広い</td>
</tr>
<tr>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;"><strong>検索</strong></td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">体系的である必要はない</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">網羅的で再現可能</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">通常はシステマティックレビューの一部</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">体系的</td>
</tr>
<tr>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;"><strong>研究の質の評価</strong></td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">必須ではない</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">行う</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">通常、システマティックレビューで行う</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">通常は行わない</td>
</tr>
<tr>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;"><strong>結果の統合</strong></td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">文章による</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">文章、場合により統計</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">統計的</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">記述的、文章による</td>
</tr>
<tr>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;"><strong>一般的な報告指針</strong></td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">特になし</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">PRISMA</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">PRISMA</td>
<td style="border:1px solid #ddd; padding:10px;">スコーピングレビュー向けのPRISMA拡張版(PRISMA-ScR)</td>
</tr>
</tbody>
</table>

研究に合ったレビューの選び方

レビューの種類は、研究課題と、使える資源によって決まります。

  • 研究や学位論文の序論を書く場合:文献レビューが適しています。研究の位置づけと、埋めるべき空白を示せます。
  • 有効性、リスク、関連といった具体的な問いに答える場合:システマティックレビューが標準的な手法です。研究を統合できる場合は、メタアナリシスを加えられます。
  • 広いテーマについて、何が研究されているかを把握したい場合、またはシステマティックレビューが実施可能かを見極めたい場合:スコーピングレビューが適しています。
  • 比較可能な研究から、全体としての効果を推定したい場合:システマティックレビューの一環としてのメタアナリシスが適しています。

システマティックレビューは、多くの労力を要します。研究の選定や評価は、一般に複数の査読者で行うため、時間と計画が必要です。そのため、本格的なシステマティックレビューに着手する前に、問いを慎重に絞り込むことが大切です。

レビューを行う際によくある失敗

  • プロトコルも、記録された検索も、あらかじめ決めた採択基準もないまま、「システマティック」と称する
  • メタアナリシスとシステマティックレビューを同じものとして扱う
  • 研究同士が異なりすぎて統合できないのに、異質性を考慮せずに統合する
  • データベースを1つしか検索せず、関連する研究を見落とす
  • メタアナリシスの結果を解釈するときに、出版バイアスを考慮しない
  • システマティックレビューを投稿するときに、PRISMAなどの報告指針に従わない
  • 広いテーマなのに、スコーピングレビューが適する場面でシステマティックレビューを選んでしまう

おわりに

文献レビュー、システマティックレビュー、メタアナリシス、スコーピングレビューは、それぞれ目的が異なり、ジャーナルや査読者は、その名称が示す要件を確認します。研究の初期段階で適切な種類を選び、原稿の中で正確に説明することが、後からの方法論上の指摘を避けるうえで有効です。レビュー論文の投稿を準備している研究者は、AJEの英文校正サービスで、分野の専門知識を持つ編集者による確認を受け、手法が編集者や査読者に正確に伝わる原稿に仕上げることもできます。

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