論文の英訳の方法:自分で訳す、AI翻訳、翻訳サービスの選び方

日本語の論文を英語にする3つの方法(自分で英訳、AI翻訳、学術翻訳サービス)を比較し、状況別の選び方を解説します。英訳で難しくなりやすい点や、どの方法でも必要な英訳後の確認、よくある失敗も紹介しています。

最終更新日:2026年11月4日

論文の英訳とは、日本語で書いた論文を英語に訳し、英語ジャーナルへの投稿に備えることです。日本語の研究成果を国際的なジャーナルに投稿するには、日本語から英語への翻訳(和文英訳)が欠かせませんが、方法は一つではありません。自分で英訳する、AI翻訳を使う、学術翻訳サービスに依頼する、といった選択肢があり、原稿の段階や目的、英語への自信によって、適した方法は異なります。

この記事では、以下の内容を解説します。

  • 論文の英訳でよく選ばれる3つの方法と、それぞれの特徴
  • 日本語の論文を英語にするときに難しくなりやすい点
  • どの方法でも必要になる、英訳後の確認
  • 状況別の選び方と、よくある失敗

論文の英訳でよく選ばれる3つの方法

論文の英語翻訳、つまり日本語の論文を英語にする方法は、大きく次の3つに分けられます。

  1. 自分で英訳する:研究内容を最もよく理解している著者自身が訳します。
  2. AI翻訳を使う:DeepLやChatGPTなどのツールで下訳を作り、修正します。
  3. 学術翻訳サービスに依頼する:翻訳会社や専門サービスに、論文の翻訳を依頼します。

日本語から英語への翻訳で難しくなりやすい点

論文の英訳では、単語を英語に置き換えるだけでは、自然で正確な英語になりません。日本語と英語の文章の違いから、次のような点で難しくなりやすいといわれています。

  • 主語の省略:日本語では主語が省略されることが多いのに対し、英語では、誰が何をしたのかを明確に示す必要があります。
  • 曖昧な表現:日本語の論文で使われる遠回しな言い回しは、英語にすると、主張がはっきりしない印象を与えることがあります。
  • 文の長さ:日本語の長い一文をそのまま英語にすると、読みにくくなりがちです。
  • 専門用語の訳語:分野によって定訳が決まっている場合があり、原稿全体で訳語を統一する必要があります。

方法1 自分で英訳する

自分で英訳する最大の利点は、研究内容を最もよく知る著者自身が訳すため、内容の誤りが起こりにくいことです。費用も抑えられます。一方で、時間がかかること、英語として不自然な表現が残りやすいことが課題です。自分で英訳した場合は、あとで英文校正やネイティブチェックを受ける前提で進めるのが一般的です。ネイティブチェックについては、ネイティブチェックとは?英語論文における必要性と依頼のポイントで解説しています。

方法2 AI翻訳を使う

DeepLやChatGPTなどのAI翻訳ツールは、短時間で下訳を作れ、費用も抑えられる点が魅力です。ただし、論文の英訳に使う場合は、次の点に注意が必要です。

  • 専門用語や文脈の誤り:分野特有の用語や、文脈に応じた訳し分けが正確でない場合があります。訳文は、必ず全文を確認する必要があります。
  • 未発表データの扱い:ツールによっては、入力した文章が学習に利用される可能性があります。未発表の研究データを入力する前に、利用規約を確認してください。
  • ジャーナルでのAI利用の開示:多くの出版社が、原稿の準備にAIツールを使った場合の開示を求めています。投稿先の規定を確認してください。

AIツールと専門家の編集の関係については、AI執筆ツールはAJEの英文校正サービスへの助けとなるか、脅威となるか?でも触れています。

方法3 学術翻訳サービスに依頼する

学術翻訳サービス(論文翻訳サービスや論文翻訳会社)に依頼する利点は、翻訳の工程を任せられるため、研究者が執筆や研究に時間を使えることです。ただし、サービスによって翻訳の工程が異なり、AI翻訳に人の校正を加えるものや、翻訳者が訳すものなど、さまざまです。依頼する前に、次の点を確認しましょう。

  • 自分の研究分野に対応しているか
  • 翻訳後に、英文校正やネイティブチェックが含まれているか
  • 翻訳の工程(AI翻訳を使うのか、翻訳者が訳すのか)が明示されているか
  • 料金体系と納期が明確か
  • 納品後の再校正や、質問への対応があるか

専門用語の対訳表や参考文献リストを渡せる場合は、訳語の統一に役立ちます。

3つの方法の比較

英訳したあとに必要な確認

どの方法を選んでも、英訳したあとに、次の点を確認することが大切です。

  • 専門用語の訳語が、原稿全体で統一されているか
  • 数値、単位、固有名詞、略語の定義に誤りがないか
  • 英語として自然で、論旨が明確に伝わるか
  • 投稿先ジャーナルの語数制限や書式に合っているか

英語表現の自然さや明瞭さは、専門家による英文校正で整えることができます。

状況別の選び方

  • 内容を確認したい、下書きを作りたい:AI翻訳で下訳を作り、自分で修正する方法が向いています。
  • 英語に自信があり、投稿用の原稿を自分で仕上げたい:自分で英訳し、英文校正を受けて仕上げる方法が考えられます。
  • 日本語の原稿が完成していて、時間をかけずに投稿したい:学術翻訳サービスの利用が選択肢になります。

論文の英訳でよくある失敗

  • AI翻訳の結果を、全文確認せずにそのまま投稿用の原稿として使ってしまう
  • 専門用語の訳語が、原稿の中でばらついている
  • 日本語の文の構造をそのまま英語にして、読みにくい文章になる
  • 翻訳サービスの翻訳工程を確認せずに依頼し、期待した品質が得られない
  • 翻訳後の英文校正やネイティブチェックを省略してしまう

おわりに

論文の英訳は、自分で行う方法、AI翻訳を使う方法、学術翻訳サービスに依頼する方法のどれにも利点があり、原稿の段階や目的、かけられる時間に合わせて選ぶことが大切です。どの方法を選んでも、英訳後の確認と英文校正で、英語としての自然さを整える工程は欠かせません。日本語の原稿を、時間をかけずに英語論文として仕上げたい場合は、AJEの日本語から英語への学術翻訳サービスで、AI翻訳に、該当分野の専門知識を持つ編集者による英文校正を組み合わせて、投稿に向けた原稿に仕上げることができます。

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